○野田市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例
令和5年12月15日
野田市条例第37号
(目的)
第1条 この条例は、歴史的又は文化的な価値を有する興風会館(野田市野田250番地に所在する建築物をいう。)(以下「対象建築物」という。)の保存及び活用並びに安全性の向上及び維持を図るための措置に関し必要な事項を定めることにより、対象建築物を地域の資産として良好な状態で次代へ継承することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例における用語の意義は、次項に定めるもののほか、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)の例による。
(1) 移築 建築物を他の敷地に移して新築することをいう。
(2) 増築等 建築物の増築、改築、移築、移転、修繕、模様替又は用途の変更をいう。
(3) 保存活用計画 次に掲げる事項を定めた対象建築物の保存及び活用に係る計画をいう。
ア 当該対象建築物の歴史的又は文化的な背景及び保存すべき内容
イ 当該対象建築物の保存を図りながら、これを活用するために必要な増築等の工事の内容
ウ 当該対象建築物の安全性に関する事項
エ 当該対象建築物の維持管理に関する事項
オ その他市長が当該対象建築物の良好な保存及び活用並びに当該対象建築物が存する敷地の周辺の環境の保全を図るために必要と認める事項
(4) 保存建築物 対象建築物のうち、第4条第1項の規定による登録を受けたものをいう。
(5) 保存対象敷地 保存建築物が存する敷地(保存活用計画において、対象建築物を移築することとする場合にあっては、移築後の敷地)をいう。
(所有者による登録の申請)
第3条 対象建築物の所有者は、当該対象建築物の保存及び活用を図るため、法第3条第1項第3号の規定に基づく指定を必要とするときは、市長に対し、保存建築物としての登録を申請することができる。
2 前項の規定による申請を行おうとする者は、当該対象建築物に係る保存活用計画を策定し、市長に提出しなければならない。
3 第1項の規定による申請を行おうとする者は、その者以外に当該対象建築物が存する敷地(保存活用計画において、対象建築物を移築することとする場合にあっては、移築後の敷地)について所有権又は借地権を有する者があるときは、あらかじめ、当該申請の内容についてこれらの者の同意を得なければならない。
(対象建築物の登録等)
第4条 市長は、前条第1項の規定による申請を受けた場合において、当該対象建築物の保存及び活用を図るために法第3条第1項第3号の規定に基づく指定を行う必要があり、かつ、当該対象建築物に係る保存活用計画について交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、当該対象建築物を保存建築物登録簿に登録するものとする。
2 市長は、前項の規定による登録をしようとするときは、あらかじめ、特定行政庁の意見を聴かなければならない。
3 市長は、第1項の規定による登録をしたときはその旨を、当該登録をしないことを決定したときはその旨及びその理由を、当該対象建築物の所有者に通知するものとする。
4 市長は、第1項の規定による登録をしたときは、その旨を公告するとともに、別に定める図書を一般の縦覧に供するものとする。
6 対象建築物の所有者は、第4項の規定による公告がなされたときは、当該保存建築物について、法第3条第1項第3号の規定に基づく指定を受けるために必要な手続をとるものとする。
(登録の変更)
第5条 保存建築物の所有者は、当該保存建築物に係る保存活用計画の変更(別に定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、市長に対し、変更の登録(以下「変更登録」という。)を申請しなければならない。
3 市長は、第1項の規定による申請を受けた場合において、当該申請の内容が当該保存建築物の保存及び活用を図るために必要であり、かつ、変更後の保存活用計画について交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、変更登録をするものとする。
(登録の抹消)
第6条 市長は、保存建築物について、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該保存建築物の登録を抹消しなければならない。
(1) 法第3条第1項第1号又は第2号に規定する建築物に該当するに至ったとき。
(2) 滅失、毀損その他の事由によりその登録の理由が消滅したとき。
2 市長は、保存建築物について、公益上の理由その他特別な理由があると認めるときは、その登録を抹消することができる。
3 市長は、前2項の規定により保存建築物の登録を抹消したときは、その旨及びその理由を公告するとともに、当該抹消された保存建築物の所有者に通知するものとする。
(増築等の許可等)
第7条 保存対象敷地内において増築等をしようとする者又は保存建築物に関しその形状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ、市長の許可を受けなければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の別に定める行為及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
3 市長は、第1項の許可の申請があった場合において、当該保存建築物の保存のために必要があると認めるときは、許可に必要な条件を付すことができる。
4 第1項の許可は、当該許可に係る工事が法第6条第1項若しくは第6条の2第1項(これらの規定を法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請又は法第18条第2項(法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による通知を要するものであるときは、当該申請又は通知をしようとする日までに受けなければならない。
5 第1項の許可に係る工事は、当該許可を受けた後でなければ、これを施工してはならない。
(完了検査)
第8条 前条第1項の許可を受けた者は、当該許可に係る工事を完了したときは、別に定めるところにより、市長に対し、検査の申請をしなければならない。
4 市長は、第1項の検査の申請があったときは、当該申請が到達した日から7日以内に、当該申請に係る保存建築物が当該許可の内容に適合しているかどうかを検査しなければならない。
(所有者の管理義務等)
第9条 保存建築物の所有者は、当該保存建築物に係る保存活用計画に従って、当該保存建築物の保存及び活用を図らなければならない。
2 保存建築物の所有者は、当該保存建築物の管理に関する責任者(以下「保存管理責任者」という。)を選任することができる。
3 保存建築物の所有者は、前項の規定により保存管理責任者を選任したときは、速やかに、その旨を市長に届け出なければならない。保存管理責任者を解任し、又は変更したときも、同様とする。
4 第1項の規定は、保存管理責任者について準用する。
5 保存建築物の所有者に変更があったときは、新たに所有者となった者は、速やかに、その旨を市長に届け出なければならない。
6 保存建築物の所有者又は保存管理責任者は、その氏名又は住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名又は主たる事務所の所在地)を変更したときは、速やかに、その旨を市長に届け出なければならない。
(維持管理の報告等)
第10条 保存建築物の所有者又は保存管理責任者は、当該保存建築物について、当該保存建築物に係る保存活用計画の維持管理に関する事項に従い、定期的にその状況の調査を行い、その結果を市長に報告しなければならない。
2 市長は、前項に定めるもののほか、必要があると認めるときは、保存建築物の所有者又は保存管理責任者に対し、当該保存建築物の現状又は管理若しくは工事の状況について報告又は資料の提出を求めることができる。
(管理に関する助言、勧告及び命令)
第11条 市長は、保存建築物の所有者又は保存管理責任者に対し、当該保存建築物を管理するために必要な助言を行うことができる。
2 市長は、保存建築物の構造若しくは建築設備又は保存対象敷地の管理が適当でないため当該保存建築物の損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば保安上著しく危険な状態となり、又は衛生上著しく有害となるおそれがあると認める場合においては、当該保存建築物若しくは当該保存対象敷地の所有者又は保存管理責任者に対し、相当の猶予期限を付けて、管理の方法の改善その他管理に関し必要な措置をとることを勧告することができる。
3 市長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、当該勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
(監督処分)
第12条 市長は、この条例の規定又は第7条第3項の条件に違反した保存建築物又は保存対象敷地内の保存建築物以外の建築物(以下「保存建築物等」という。)の建築主、当該保存建築物等に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。以下同じ。)若しくは現場管理者又は当該保存建築物等若しくは保存対象敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、工事の停止を命じ、又は相当の猶予期限を付けて、保存建築物等の外観の変更、除却、増築、改築、移築、移転、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
2 市長は、この条例の規定又は第7条第3項の条件に違反することが明らかな増築等の工事中の保存建築物等については、緊急の必要があって野田市行政手続条例(平成8年野田市条例第26号)第13条第1項に規定する意見陳述のための手続をとることができない場合に限り、当該手続によらないで、当該保存建築物等の建築主又は当該工事の請負人若しくは現場管理者に対し、当該工事の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対し、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。
(権利義務の承継)
第13条 所有者の変更により新たに保存建築物の所有者となった者は、この条例の規定により市長が行った助言、勧告、命令その他の処分による当該所有者でなくなった者の権利及び義務を承継する。
(建築物の設計及び工事監理)
第15条 第7条第1項の許可を受けた保存建築物の工事のうち、建築士法(昭和25年法律第202号)第3条第1項(同条第2項の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)、第3条の2第1項(同条第2項において準用する同法第3条第2項の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)又は第3条の3第1項(同条第2項において準用する同法第3条第2項の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)に規定する建築物の工事は、それぞれ当該各条に規定する建築士の設計によらなければ、することができない。
2 第7条第1項の許可を受けた保存建築物の工事のうち、建築士法第2条第7項に規定する構造設計図書による同法第20条の2第1項に規定する建築物の工事は、構造設計一級建築士(同法第10条の3第4項に規定する構造設計一級建築士をいう。以下同じ。)の構造設計(同法第2条第7項に規定する構造設計をいう。以下同じ。)又は当該保存建築物が構造関係規定(同法第20条の2第2項に規定する構造関係規定をいう。)に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によらなければ、することができない。
(立入調査等)
第17条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に保存対象敷地若しくは保存建築物等に立ち入らせ、その状況を調査させ、必要な検査をさせ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定による立入調査、立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査、立入検査又は質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附則
この条例は、令和6年1月1日から施行する。