○野田市虐待防止条例

令和5年12月15日

野田市条例第34号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 児童虐待(第10条―第21条)

第3章 高齢者虐待

第1節 養護者による高齢者虐待(第22条―第30条)

第2節 養介護施設従事者等による高齢者虐待(第31条―第35条)

第4章 障がい者虐待(第36条―第46条)

第5章 虐待防止対策庁内連絡会(第47条)

第6章 議会への報告(第48条・第49条)

第7章 雑則(第50条・第51条)

附則

本市では、平成31年1月に発生した、あってはならない痛ましい児童虐待死亡事件を踏まえ、悲惨な事件の犠牲者を二度と出すことがないよう、「直ちに実施できるものは、直ちに実施する」との方針に基づき、様々な取組を実施するとともに、児童及び家族にしっかりと接触し、向き合い、児童を守り通す組織とすることで、事件の再発防止に全力で取り組んできた。

しかし、本市における児童虐待はいまだ後を絶たず、全国的にも増加の一途をたどっている。さらに、高齢者及び障がい者に対する痛ましい虐待も後を絶たず、大きな社会問題となっている。

今もなお、虐待又は暴力に苦しみ、その痛みにじっと耐え、助けを求めている被養護者等がいる一方、子育て、介護若しくは支援に悩み、又は疲れ、助けを求めている養護者等もいる。

助けを求めている方々に、手を差し伸べることができるのは私たち一人一人である。

私たちは、虐待を未然に防止するために、その背景にも目を向け、できる限りの対策を推進することにより、家庭、施設等における虐待の芽を早期に摘み取るとともに、被養護者等の権利の侵害及び被害に対しては、その解決に全力を尽くす。

私たちは、「あなたの人格と人権を尊重する」・「あなたを守る」・「あなたの権利を守る」という強い覚悟を持って、虐待に陥る前段でのアウトリーチを含めた相談支援について、最大限の強化を図り、被養護者等はもとより、養護者、保護者、配偶者、妊産婦等に寄り添い、市、関係機関、養護者等、施設等関係者、関係団体及び地域社会が、「あらゆる虐待を起こさせない」・「虐待の加害者をつくらない」ため、その責務及び役割を果たし、連携し、市民の生命及び安全で安心な生活を守るとともに、事件後に高まった虐待防止に対する意識を風化させないために、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、児童、高齢者及び障がい者(以下「被養護者等」という。)に対する虐待の防止を図り、もって被養護者等の権利利益の擁護に資することにより、虐待のない社会を確立し、「夢のある住みよいまち」・「元気で明るい家庭を築けるまち」を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 児童 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」という。)第2条に規定する児童をいう。

(2) 高齢者 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号。以下「高齢者虐待防止法」という。)第2条第1項に規定する高齢者をいう。

(3) 障がい者 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号。以下「障害者虐待防止法」という。)第2条第1項に規定する障害者をいう。

(4) 虐待 児童虐待防止法第2条に規定する児童虐待(以下「児童虐待」という。)、高齢者虐待防止法第2条第3項に規定する高齢者虐待(以下「高齢者虐待」という。)及び障害者虐待防止法第2条第2項に規定する障害者虐待(以下「障がい者虐待」という。)をいう。

(5) 関係機関 関係行政機関、保健、福祉及び介護サービス実施機関、教育機関、医療関係機関その他虐待、暴力等の防止に関係する機関をいう。

(6) 養護者等 児童虐待防止法第2条に規定する保護者(以下「保護者」という。)、高齢者虐待防止法第2条第2項に規定する養護者(第3章において「養護者」という。)及び障害者虐待防止法第2条第3項に規定する養護者(第4章において「養護者」という。)をいう。

(7) 施設等関係者 被養護者等が入所し、利用し、若しくはサービスの提供を受ける施設又は事業所の関係者をいう。

(8) 関係団体 市内において被養護者等及び養護者等の支援を目的に活動を行う団体をいう。

(9) 通告 児童虐待防止法第6条第1項の規定による通告をいう。

(10) 児童相談所 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第12条第1項に規定する児童相談所をいう。

(11) 児童委員 児童福祉法第16条第1項に規定する児童委員をいう。

(12) 要保護児童 児童福祉法第6条の3第8項に規定する要保護児童をいう。

(13) 要保護児童対策地域協議会 児童福祉法第25条の2第1項の規定により市が設置する要保護児童対策地域協議会をいう。

(14) 子ども家庭総合支援拠点 児童福祉法第10条の2の規定により市が整備する拠点をいう。

(15) 子育て世代包括支援センター 母子保健法(昭和40年法律第141号)第22条第1項の規定により市が設置する母子健康包括支援センターをいう。

(16) アウトリーチ 対象者からの働きかけを待つのではなく、積極的に対象者のいる場所に出向いて必要なサービス又は情報を届けるように行動することをいう。

(17) レスパイトケア 子育て又は介護を行う養護者等の精神的及び身体的負担を軽減する支援をいう。

(18) 養護者による高齢者虐待 高齢者虐待防止法第2条第4項に規定する養護者による高齢者虐待をいう。

(19) 高齢者なんでも相談室 介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の46第2項又は第3項の規定により設置する地域包括支援センターをいう。

(20) 民生委員 民生委員法(昭和23年法律第198号)に規定する民生委員をいう。

(21) 養介護施設従事者等による高齢者虐待 高齢者虐待防止法第2条第5項に規定する養介護施設従事者等による高齢者虐待(同条第6項の規定の適用を受けるものを含む。)をいう。

(22) 養介護施設 高齢者虐待防止法第2条第5項第1号に規定する養介護施設をいう。

(23) 養介護事業 高齢者虐待防止法第2条第5項第2号に規定する養介護事業をいう。

(24) 障害者福祉施設従事者等による障がい者虐待 障害者虐待防止法第2条第7項に規定する障害者福祉施設従事者等による障害者虐待をいう。

(25) 使用者による障がい者虐待 障害者虐待防止法第2条第8項に規定する使用者による障害者虐待をいう。

(26) 障がい者基幹相談支援センター 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「障害者総合支援法」という。)第77条の2第2項又は第4項の規定により設置する基幹相談支援センターをいう。

(27) 中核地域生活支援センター 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第108条に規定する都道府県地域福祉支援計画である千葉県地域福祉支援計画に千葉県独自事業として位置付けられている施設をいう。

(28) 自立支援・障がい者差別解消支援地域協議会 障害者総合支援法第89条の3第1項の規定及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第17条第1項の規定により市が設置する協議会をいう。

(基本理念)

第3条 虐待は、被養護者等の人権を著しく侵害し、心身の健康又は生命に深刻な影響を及ぼす行為であることから、何人も虐待をしてはならない。

2 虐待の予防その他の虐待の防止、虐待の早期発見並びに虐待を受けた被養護者等及びその養護者等に対する支援(以下「虐待の防止等」という。)に関する施策及び活動の推進は、生命及び尊厳を守ることを最優先に、被養護者等の人権及び利益が最大限に考慮されるとともに、養護者等の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。

3 養護者等に対する支援は、それが虐待の予防に資するものであることに鑑み、虐待の加害者をつくらないためにも、養護者等による虐待のおそれがなくなるまで切れ目なく行われなければならない。

4 市、関係機関、養護者等、施設等関係者、関係団体及び市民は、それぞれの責務及び役割を自覚し、主体的に、かつ、連携して、虐待のない社会を確立し、「夢のある住みよいまち」・「元気で明るい家庭を築けるまち」の実現に向けて取り組まなければならない。

5 全ての市民は、被養護者等の特性を理解し、相互に人格及び個性を尊重し、地域社会の絆の維持及び強化を図るとともに、共生社会の実現に向けて取り組まなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、全ての被養護者等の生命及び人権を守るため、関係機関と密接に連携して、虐待の防止等に関する施策を総合的に推進しなければならない。

2 市は、基本理念にのっとり、虐待を受けた被養護者等(虐待を受けたと思われる被養護者等を含む。)を発見し、又は虐待(そのおそれを含む。)に係る通告、通報若しくは届出を受けたときは、当該被養護者等の安全の確保及び生命を守ることを最優先に関係機関と連携し、迅速かつ適切な措置を講じなければならない。

3 市は、基本理念にのっとり、関係機関との相互連携、役割、対応方法等を明確にするため、市独自の虐待対応マニュアルを作成し、随時見直しを行わなければならない。

4 市は、関係団体に対し、虐待を受けた被養護者等及びその養護者等に対する支援に係る知識の提供その他の必要な支援を行うとともに、市民及び関係団体と連携し、養護者等が安心して子育て又は介護ができる社会を実現しなければならない。

(関係機関の責務)

第5条 関係機関は、基本理念にのっとり、市が実施する虐待の防止等に関する施策及び活動の推進に係る取組に協力するよう努めなければならない。

2 関係機関は、虐待の防止等の職務に携わる職員に対する段階に応じた研修の実施その他の当該職員の資質の向上を図るために必要な措置を講じなければならない。

(養護者等の責務)

第6条 養護者等は、しつけ、教育、指導、支援、配慮等のいかなる理由にかかわらず、被養護者等に対し、虐待をしてはならない。

2 養護者等は、基本理念にのっとり、自らが被養護者等の安全の確保について重要な責任を有していることを認識し、市及び関係機関による支援を受けるなどして、その養護する被養護者等が安全に安心して暮らすことができるようにしなければならない。

3 保護者は、子育てに関する市又は関係機関による指導又は助言その他の支援を受けた場合には、必要な措置を講じなければならない。

(施設等関係者の責務)

第7条 施設等関係者は、しつけ、教育、指導、支援、配慮等のいかなる理由にかかわらず、被養護者等に対し、虐待をしてはならない。

2 施設等関係者は、基本理念にのっとり、虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、虐待の早期発見に努めなければならない。

3 施設等関係者は、基本理念にのっとり、その職員が関与する虐待であっても、隠蔽することなく、速やかに、通告又は通報をしなければならない。

4 施設等関係者は、基本理念にのっとり、市が実施する虐待の防止等に関する施策及び活動の推進に係る取組に協力するよう努めなければならない。

5 施設等関係者は、虐待の防止等の職務に携わる職員に対する段階に応じた研修の実施その他の当該職員の資質の向上を図るため必要な措置を講じなければならない。

(関係団体の責務)

第8条 関係団体は、基本理念にのっとり、市が実施する虐待の防止等に関する施策及び活動の推進に係る取組に協力するよう努めるものとする。

(市民の責務)

第9条 市民は、基本理念にのっとり、基本理念についての理解を深め、市民、被養護者等及びその養護者等との交流が虐待の防止等において重要な役割を果たすことを認識し、虐待のない地域づくりのために積極的な役割を担うよう努めるとともに、市が実施する虐待の防止等に関する施策及び活動の推進に係る取組に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、虐待の防止等に関する活動を地域社会全体で取り組まなければならない課題として捉え、地域において相互に協力し、被養護者等がいる家庭が孤立することがないよう当該家庭に積極的に関わるなど、虐待の防止等に努めるとともに、声かけ又は見守りを行うなど、地域において被養護者等が安心して生活することができるための環境づくりに努めるものとする。

第2章 児童虐待

(通告及び相談)

第10条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、躊躇ちゅうちょなく、速やかに、市又は児童相談所に、自ら又は児童委員を介して通告しなければならない。

2 市は、365日24時間、通告又は児童からの虐待を受けた旨の相談(以下この章において「相談」という。)に対応するため、職員の緊急連絡体制を整備しなければならない。

3 市は、通告又は相談を受けるため、関係機関と連携し、体制の整備及び充実に努めるとともに、通告又は相談をしやすい環境づくりを行わなければならない。

4 通告又は相談を受けた者は、当該通告又は相談を行った者に対する不利益が生じないよう、その情報の管理への特段の配慮その他の必要な措置を講じなければならない。

5 関係機関は、次の各号のいずれかに該当する場合には、本市の区域を管轄する児童相談所に通告しなければならない。ただし、当該場合に該当するかどうかの判断に迷ったときは、市又は本市の区域を管轄する児童相談所に通告しなければならない。

(1) 明らかな外傷(打撲傷、あざ(内出血)、骨折、刺傷、火傷等をいう。以下同じ。)があるなど、身体的虐待が疑われる場合

(2) 生命又は身体の安全に関わるネグレクト(栄養失調、医療放棄等をいう。以下同じ。)があると疑われる場合

(3) 性的虐待が疑われる場合

(4) 児童自身が保護又は救済を求めている場合

(5) 不審な大声、怒鳴り声又は大きな物音により児童虐待が疑われる場合

(緊急受理会議)

第11条 市は、児童虐待(そのおそれを含む。)の通告又は相談を受けたときは、直ちに、緊急受理会議を開催し、組織としての方針及び具体的な対応を決定しなければならない。

2 緊急受理会議の構成員は、児童虐待に関する事務を所管する課(以下この章において「担当課」という。)の課長、課長補佐、係長及び担当ケースワーカーとする。

3 緊急受理会議は、担当課の課長が招集し、主宰する。

4 担当課の課長は、著しい傷害を伴う児童虐待が疑われる場合又は児童の安全の確保に緊急を要する場合には、直ちに、担当課を所管する部長(以下この章において「担当部長」という。)に会議への参加又は助言を求めるとともに、警察署に対し、警察職員の会議への参加及び今後の支援について依頼しなければならない。

(安全の確認)

第12条 市は、前条第1項の規定による緊急受理会議を終えたときは、直ちに、児童の所属する学校等へ出向き、当該児童の安全の確認(児童虐待防止法第8条第1項に規定する安全の確認をいう。)(以下この条及び次条において「安全の確認」という。)を実施しなければならない。この場合において、児童との面会を実施するときは、当該児童が安心して会話をすることができるよう、日頃から信頼している教員等を同席させるなど、その環境に配慮しなければならない。

2 安全の確認は、原則として通告又は相談を受けた日中にしなければならない。ただし、やむを得ない事由により同日中に安全の確認ができない場合は、午前、午後等、時間帯を変えて家庭訪問をするなど、安全の確認を継続し、当該通告又は相談を受けた時から48時間を経過するまでに安全の確認ができるようにしなければならない。

3 保護者その他の当該児童の関係者は、安全の確認に協力しなければならない。

4 市は、前項の規定による協力において、長期間の旅行、帰省等の理由により安全の確認ができない旨の報告を受けたときは、帰省先等の市区町村に対し、安全の確認を依頼しなければならない。

(送致及び援助の求め)

第13条 市は、安全の確認において次の各号のいずれかに該当する場合には、当該児童について、児童相談所に送致し、又は援助を求めなければならない。

(1) 複数回の家庭訪問をしたにもかかわらず、当該通告又は相談を受けた時から48時間を経過するまでに、市及び関係機関において目視により当該児童を確認することができない場合

(2) 目視による当該児童の確認において、当該児童が泣いている、隠し事をしているような表情をしている等、児童虐待を秘匿するような徴候を観察した場合

(3) 性的虐待が疑われる場合

(4) 児童自身が保護又は救済を求めている場合

2 市は、安全の確認において次の各号のいずれかに該当する場合には、警察署、消防署等に通報し、援助を求めなければならない。

(1) 家庭訪問をした際に、家の中から児童虐待を連想させるような怒鳴り声又は児童の泣き声が聞こえるにもかかわらず、当該児童又はその保護者に会えない場合

(2) 目視により当該児童に児童虐待が疑われる複数の又は著しい傷若しくは傷跡又は火傷若しくは火傷跡を発見した場合

(3) 目視により当該児童に生命又は身体の安全に関わるネグレクトがあると疑われる場合

(情報の共有)

第14条 市は、児童虐待を受け、又は受けるおそれのある児童(以下この条において「支援対象児童」という。)の保護及び自立の支援のために必要があると認める場合には、関係機関と連携し、支援対象児童、その保護者、同居人その他の支援対象児童の関係者の氏名、住所、心身の状況その他の支援対象児童の保護及び自立の支援のために必要な情報を遅滞なく収集し、その業務の遂行に必要な範囲内に限り共有しなければならない。ただし、当該情報を共有することによって、当該情報に係る支援対象児童、その保護者、同居人その他の支援対象児童の関係者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

2 市は、支援対象児童が市外に転出し、又は転出を予定する場合には、支援対象児童に対する支援が途切れることのないよう転出先の市区町村に必要な情報を提供しなければならない。

3 市は、支援対象児童が市内に転入し、又は転入を予定する場合には、支援対象児童に対する支援が途切れることのないよう転出元の市区町村に必要な情報の提供を求めなければならない。

4 担当課の課長は、児童虐待事案の担当ケースワーカーに変更があった場合には、担当課の係長を含めて当該児童虐待事案の情報の引継ぎをさせ、その旨の報告を受けなければならない。

(実務者会議)

第15条 市は、要保護児童に係る関係機関相互の連携強化を図るとともに、主担当及び関係機関の役割分担の明確化のほか、市が通告を受けた全ての児童虐待事案について、関係機関と情報を共有し、連携して活動するための調整をし、及び次条第1項に規定する個別支援会議の開催の必要性を議論するため、毎月、実務者会議を開催しなければならない。

2 実務者会議の構成員は、要保護児童対策地域協議会の実務者とする。

3 実務者会議は、担当部長が招集し、主宰する。

4 前3項に定めるもののほか、実務者会議に関し必要な事項は、別に定める。

(個別支援会議)

第16条 市は、個別事案に関する情報の共有並びに支援方針及び関係機関の役割分担の明確化を図るため、個別事案について次の各号のいずれかに該当する場合には、個別支援会議を開催しなければならない。この場合において、児童が入院中である場合など、早急に情報の共有並びに支援方針及び関係機関の役割分担の明確化を図る必要があるときは、直ちに、個別支援会議を開催しなければならない。

(1) 前条第1項に規定する実務者会議が必要と判断した場合

(2) 児童相談所が必要と判断した場合

(3) 関係機関が必要と判断した場合

(4) 一時保護(児童福祉法第33条第1項に規定する一時保護をいう。以下この号において同じ。)が行われた場合にあっては、当該一時保護が解除される前に該当する場合

(5) 児童福祉法第27条第1項第3号の措置により施設に入所した児童が家庭に復帰する前に該当する場合

(6) 児童相談所から市への送致を検討している場合

(7) 児童福祉法第26条第1項第2号及び第27条第1項第2号の規定による市への指導委託の前に該当する場合

(8) 本市を管轄する児童相談所主担当事案で当該児童相談所の管轄内の本市以外の市から本市に転入した場合

(9) 要保護児童対策地域協議会における事案の終了に当たり、検討が必要と判断した場合

(10) 転出入事案(第8号に規定する場合を除く。)に該当する場合

2 個別支援会議は、担当課の課長が当該事案の支援に必要な関係者を招集し、主宰する。

3 前2項に定めるもののほか、個別支援会議に関し必要な事項は、別に定める。

(児童虐待を受けた児童に対する支援)

第17条 市は、児童虐待を受けた児童に対し、地域において健やかな成長が図られ、及び自立した生活を円滑に営むことができるよう、関係機関と連携し、相談、指導、助言その他の必要な支援を適切に行わなければならない。

2 市は、前項の規定による支援を行うに当たっては、児童の年齢、心身及び生活の状況その他の事情に配慮しつつ、児童の意思を尊重しなければならないとともに、児童虐待及び児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(児童虐待防止法第2条第4号に規定する配偶者に対する暴力をいう。以下この項において同じ。)が相互に関連して行われていることが多い現状を踏まえ、当該児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力への対応と一体的に行わなければならない。

(保護者に対する支援)

第18条 市は、保護者の負担軽減を図るため、関係機関と連携し、情報の共有、アウトリーチを含む相談の実施その他の必要な支援を適切に行うとともに、子育て短期支援事業その他のレスパイトケアに努め、保護者が安心して子育てができる環境の整備に努めなければならない。

2 市は、関係機関と連携し、児童虐待を受けた児童の保護者に対し、必要な指導及び支援その他の必要な措置を講ずることにより、児童虐待の再発防止に努めなければならない。

(妊娠期からの支援)

第19条 市は、子ども家庭総合支援拠点及び子育て世代包括支援センターを活用し、妊娠期から切れ目のない支援を行わなければならない。

2 妊産婦の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)及び同居人は、当該妊産婦が安心して生活をすることができるよう、その身体的及び精神的な負担の軽減その他の配慮をしなければならない。

(乳児家庭全戸訪問事業等の活用)

第20条 市は、次に掲げる事業のいずれかにおいて家庭等の状況を把握することができない場合は、児童虐待を未然に防止するため、当該家庭の情報を庁内関係部署においてその業務の遂行に必要な範囲内に限り共有するよう努めなければならない。ただし、当該情報を共有することによって、当該情報に係る関係者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

(1) 児童福祉法第6条の3第4項に規定する乳児家庭全戸訪問事業

(2) 児童福祉法第6条の3第5項に規定する養育支援訪問事業

(3) 児童福祉法第6条の3第6項に規定する地域子育て支援拠点事業

(4) 母子保健法第11条に規定する新生児の訪問指導

(5) 母子保健法第12条第1項及び第13条第1項に規定する健康診査

(児童虐待防止推進月間)

第21条 市は、児童虐待から児童を守ることの重要性について市民等の関心を喚起し、理解を促すとともに、児童虐待のない社会の確立を図るため、毎年11月を児童虐待防止推進月間とし、関係機関と連携して、必要な広報及び啓発を実施しなければならない。

2 市は、前項の児童虐待防止推進月間において、加害者をつくらないことを目的にした市民向けの研修、講演その他の児童虐待の予防的措置を実施しなければならない。

第3章 高齢者虐待

第1節 養護者による高齢者虐待

(通報等)

第22条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、躊躇なく、速やかに、市又は高齢者なんでも相談室に通報しなければならない。

2 市は、365日24時間、養護者による高齢者虐待(そのおそれを含む。)に係る通報、届出又は相談(以下この節において「通報等」という。)に対応するため、職員の緊急連絡体制を整備しなければならない。

3 市は、通報等を受けるため、関係機関と連携し、体制の整備及び充実に努めるとともに、通報等をしやすい環境づくりを行わなければならない。

4 通報等を受けた者は、当該通報等を行った者に対する不利益が生じないよう、その情報の管理への特段の配慮その他の必要な措置を講じなければならない。

5 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、警察署及び市に通報しなければならない。

(1) 明らかな外傷があるなど、身体的虐待が疑われる場合

(2) 生命又は身体の安全に関わるネグレクトがあると疑われる場合

(3) 性的虐待が疑われる場合

(4) 高齢者自身が保護又は救済を求めている場合

(5) 不審な大声、怒鳴り声又は大きな物音により養護者による高齢者虐待が疑われる場合

(コアメンバー会議)

第23条 市は、通報等を受けたときは、直ちに、養護者による高齢者虐待の疑いがあるかどうか及び緊急対応が必要な場合かどうかを判断するため、コアメンバー会議を開催し、通報等の内容を詳細に検討し、初期対応の方針を決定しなければならない。

2 コアメンバー会議の構成員は、高齢者虐待に関する事務を所管する課(以下この章において「担当課」という。)の課長及び担当者、高齢者なんでも相談室の担当者並びに当該高齢者の関係者とする。

3 コアメンバー会議は、担当課の課長が招集し、主宰する。

4 担当課の課長は、著しい傷害を伴う養護者による高齢者虐待が疑われる場合又は高齢者の安全の確保に緊急を要する場合には、直ちに、担当課を所管する部長(以下この章において「担当部長」という。)に会議への参加又は助言を求めなければならない。

(安全及び事実の確認)

第24条 市は、前条第1項の規定によるコアメンバー会議を終えたときは、直ちに、訪問調査を実施し、当該高齢者の安全の確認(以下この条及び第26条において「安全の確認」という。)及び通報等に係る事実の確認を行わなければならない。

2 安全の確認は、原則として通報等を受けた日中にしなければならない。ただし、やむを得ない事由により同日中に安全の確認ができない場合は、午前、午後等、時間帯を変えて訪問をするなど、安全の確認を継続し、当該通報等を受けた時から48時間を経過するまでに安全の確認ができるようにしなければならない。

3 養護者その他の当該高齢者の関係者は、安全の確認に協力しなければならない。

4 市は、前項の規定による協力において、長期間の旅行、帰省等の理由により安全の確認ができない旨の報告を受けたときは、帰省先等の市区町村に対し、安全の確認を依頼しなければならない。

5 市は、安全の確認において次の各号のいずれかに該当する場合には、警察署、消防署等に通報し、援助を求めなければならない。

(1) 家庭訪問をした際に、家の中から養護者による高齢者虐待を連想させるような怒鳴り声又は高齢者の苦痛を連想させるような声が聞こえるにもかかわらず、当該高齢者又はその養護者に会えない場合

(2) 目視により当該高齢者に養護者による高齢者虐待が疑われる複数の又は著しい傷若しくは傷跡又は火傷若しくは火傷跡を発見した場合

(3) 目視により当該高齢者に生命又は身体の安全に関わるネグレクトがあると疑われる場合

(対応方針の決定)

第25条 市は、前条第1項の規定による通報等に係る事実の確認を終えたときは、養護者による高齢者虐待の有無及び緊急性について判断し、対応方針を決定する。

(立入調査)

第26条 市は、養護者その他の当該高齢者の関係者による協力が得られない等により安全の確認ができない場合は、直ちに、高齢者虐待防止法第11条第1項の規定による立入調査を実施する。

(評価会議)

第27条 市は、個別事案に関する対応方針に基づき、当該高齢者の安全の確保がされたかどうかその他の当該対応方針に基づく措置の実施状況を評価するため、評価会議を開催しなければならない。

2 評価会議の構成員は、担当部長、担当課の課長及び担当者、高齢者なんでも相談室の担当者並びに当該高齢者の関係者とする。

3 評価会議は、前項に規定する構成員1人以上からの開催の求めに応じ、担当部長が招集し、主宰する。

(情報の共有)

第28条 市は、養護者による高齢者虐待を受け、又は受けるおそれのある高齢者(以下この条において「支援対象高齢者」という。)の保護のために必要があると認める場合には、関係機関と連携し、支援対象高齢者、その養護者、同居人その他の支援対象高齢者の関係者の氏名、住所、心身の状況その他の支援対象高齢者の保護のために必要な情報を遅滞なく収集し、その業務の遂行に必要な範囲内に限り共有しなければならない。ただし、当該情報を共有することによって、当該情報に係る支援対象高齢者、その養護者、同居人その他の支援対象高齢者の関係者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

2 市は、支援対象高齢者の見守りを積極的に行っていく必要があることから、民生委員と連携し、支援対象高齢者の氏名、住所、心身の状況その他の支援対象高齢者の保護のために必要な情報をその業務の遂行に必要な範囲内に限り共有しなければならない。ただし、当該情報を共有することによって、当該情報に係る支援対象高齢者、支援対象高齢者の関係者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

3 市は、支援対象高齢者が市外に転出し、又は転出を予定する場合には、支援対象高齢者に対する支援が途切れることのないよう転出先の市区町村に必要な情報を提供しなければならない。

4 市は、支援対象高齢者が市内に転入し、又は転入を予定する場合には、支援対象高齢者に対する支援が途切れることのないよう転出元の市区町村に必要な情報の提供を求めなければならない。

5 担当課の課長は、高齢者虐待事案の担当者に変更があった場合には、担当課の係長を含めて高齢者虐待事案の情報の引継ぎをさせ、その旨の報告を受けなければならない。

(高齢者虐待を受けた高齢者に対する支援)

第29条 市は、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者に対し、地域において安心して生活が送れるよう、関係機関と連携し、介護保険法の規定に基づく給付、相談、指導、助言その他の必要な支援を適切に行わなければならない。

2 市は、前項の規定による支援を行うに当たっては、高齢者の心身及び生活の状況その他の事情に配慮しつつ、高齢者の意思を尊重しなければならない。

(養護者に対する支援)

第30条 市は、養護者による高齢者虐待を防止するため、必要な広報その他の啓発活動を行わなければならない。

2 市は、養護者の負担軽減を図るため、関係機関と連携し、情報の共有、アウトリーチを含む相談の実施その他の必要な支援を適切に行うとともに、短期入所生活介護その他のレスパイトケアに努め、養護者による高齢者虐待の再発防止に努めなければならない。

第2節 養介護施設従事者等による高齢者虐待

(通報等)

第31条 養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者(高齢者虐待防止法第2条第6項の規定により高齢者とみなして同法の養介護施設従事者等による高齢者虐待に関する規定を適用する障がい者を含む。以下この節において同じ。)を発見した者は、躊躇なく、速やかに、市に通報しなければならない。

2 市は、365日24時間、養介護施設従事者等による高齢者虐待(そのおそれを含む。)に係る通報、届出又は相談(以下この節において「通報等」という。)に対応するため、職員の緊急連絡体制を整備しなければならない。

3 市は、通報等を受けるため、関係機関と連携し、体制の整備及び充実に努めるとともに、通報等をしやすい環境づくりを行わなければならない。

4 通報等を受けた者は、当該通報等を行った者に対する不利益が生じないよう、その情報の管理への特段の配慮その他の必要な措置を講じなければならない。

5 養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、警察署及び市に通報しなければならない。

(1) 明らかな外傷があるなど、身体的虐待が疑われる場合

(2) 生命又は身体の安全に関わるネグレクトがあると疑われる場合

(3) 性的虐待が疑われる場合

(4) 高齢者自身が保護又は救済を求めている場合

(5) 不審な大声、怒鳴り声又は大きな物音により養介護施設従事者等による高齢者虐待が疑われる場合

6 市は、養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報又は届出を受けたときは、高齢者虐待防止法第22条第1項の規定による千葉県への報告をしなければならない。

(コアメンバー会議)

第32条 市は、通報等を受けたときは、直ちに、養介護施設従事者等による高齢者虐待の疑いがあるかどうか及び緊急対応が必要な場合かどうかを判断するため、コアメンバー会議を開催し、通報等の内容を詳細に検討し、初期対応の方針を決定しなければならない。

2 コアメンバー会議の構成員は、担当課の課長及び担当者とする。

3 コアメンバー会議は、担当課の課長が招集し、主宰する。

4 担当課の課長は、著しい傷害を伴う養介護施設従事者等による高齢者虐待が疑われる場合又は高齢者の安全の確保に緊急を要する場合には、直ちに、担当部長に会議への参加又は助言を求めなければならない。

(安全及び事実の確認)

第33条 市は、前条第1項の規定によるコアメンバー会議を終えたときは、直ちに、訪問調査を実施し、当該高齢者の安全の確認及び通報等に係る事実の確認を行わなければならない。

(対応方針の決定等)

第34条 市は、前条の規定による通報等に係る事実の確認を終えたときは、養介護施設従事者等による高齢者虐待の有無及び緊急性について判断し、対応方針を決定する。

2 市は、市が指定する養介護施設又は養介護事業の事業所における養介護施設従事者等による高齢者虐待が認められた場合は、介護保険法の規定に基づく改善勧告、改善命令、指定の効力の全部又は一部の停止、指定の取消し等の権限を適切に行使する。

3 市は、千葉県が指定する養介護施設又は養介護事業の事業所における養介護施設従事者等による高齢者虐待が認められた場合は、直ちに、千葉県へ報告し、老人福祉法(昭和38年法律第133号)及び介護保険法の規定に基づく改善勧告、改善命令、指定の効力の全部又は一部の停止、指定の取消し等の権限の適切な行使について協議する。

(評価会議)

第35条 市は、養介護施設又は養介護事業の事業所における虐待防止の取組状況について評価するため、評価会議を開催しなければならない。

2 評価会議の構成員は、担当部長、担当課の課長及び担当者とする。

3 評価会議は、前項に規定する構成員1人以上からの開催の求めに応じ、担当部長が招集し、主宰する。

第4章 障がい者虐待

(通報等)

第36条 障がい者虐待を受けたと思われる障がい者を発見した者は、躊躇なく、速やかに、市に通報しなければならない。

2 市は、365日24時間、障がい者虐待(そのおそれを含む。)に係る通報、届出又は相談(以下この章において「通報等」という。)に対応するため、職員の緊急連絡体制を整備しなければならない。

3 市は、通報等を受けるため、関係機関と連携し、体制の整備及び充実に努めるとともに、通報等をしやすい環境づくりを行わなければならない。

4 通報等を受けた者は、当該通報等を行った者に対する不利益が生じないよう、その情報の管理への特段の配慮その他の必要な措置を講じなければならない。

5 障がい者虐待を受けたと思われる障がい者を発見した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、警察署及び市に通報しなければならない。

(1) 明らかな外傷があるなど、身体的虐待が疑われる場合

(2) 生命又は身体の安全に関わるネグレクトがあると疑われる場合

(3) 性的虐待が疑われる場合

(4) 障がい者自身が保護又は救済を求めている場合

(5) 不審な大声、怒鳴り声又は大きな物音により障がい者虐待が疑われる場合

(コアメンバー会議)

第37条 市は、通報等を受けたときは、直ちに、障がい者虐待の疑いがあるかどうか及び緊急対応が必要な場合かどうかを判断するため、コアメンバー会議を開催し、通報等の内容を詳細に検討し、初期対応の方針を決定しなければならない。

2 コアメンバー会議の構成員は、障がい者虐待に関する事務を所管する課(以下この章において「担当課」という。)の課長及び担当者、障がい者基幹相談支援センターの職員並びに当該障がい者の関係者とする。

3 コアメンバー会議は、担当課の課長が招集し、主宰する。

4 担当課の課長は、著しい傷害を伴う障がい者虐待が疑われる場合又は障がい者の安全の確保に緊急を要する場合には、直ちに、担当課を所管する部長(以下この章において「担当部長」という。)に会議への参加又は助言を求めなければならない。

(安全及び事実の確認)

第38条 市は、前条第1項の規定によるコアメンバー会議を終えたときは、直ちに、訪問調査を実施し、当該障がい者の安全の確認(以下この条及び次条において「安全の確認」という。)及び通報等に係る事実の確認を行わなければならない。

2 安全の確認は、原則として通報等を受けた日中にしなければならない。ただし、やむを得ない事由により同日中に安全の確認ができない場合は、午前、午後等、時間帯を変えて訪問をするなど、安全の確認を継続し、当該通報等を受けた時から48時間を経過するまでに安全の確認ができるようにしなければならない。

3 養護者その他の当該障がい者の関係者は、安全の確認に協力しなければならない。

4 市は、前項の規定による協力において、長期間の旅行、帰省等の理由により安全の確認ができない旨の報告を受けたときは、帰省先等の市区町村に対し、安全の確認を依頼しなければならない。

5 市は、安全の確認において次の各号のいずれかに該当する場合には、警察署、消防署等に通報し、援助を求めなければならない。

(1) 訪問をした際に、家その他訪問先の中から障がい者虐待を連想させるような怒鳴り声又は障がい者の苦痛を連想させるような声が聞こえるにもかかわらず、当該障がい者又はその養護者に会えない場合

(2) 目視により当該障がい者に障がい者虐待が疑われる複数の又は著しい傷若しくは傷跡又は火傷若しくは火傷跡を発見した場合

(3) 目視により当該障がい者に生命又は身体の安全に関わるネグレクトがあると疑われる場合

(立入調査)

第39条 市は、養護者その他の当該障がい者の関係者による協力が得られない等により安全の確認ができない場合は、直ちに、障害者虐待防止法第11条第1項の規定による立入調査を実施する。

(虐待対応ケース会議)

第40条 市は、個別事案に関する情報の共有並びに支援方針及び関係機関の役割分担の明確化を図るため、虐待対応ケース会議を開催しなければならない。

2 虐待対応ケース会議の構成員は、次の各号に掲げる者とする。

(1) 千葉県野田健康福祉センターを代表する者

(2) 千葉県野田警察署を代表する者

(3) 一般社団法人野田市医師会を代表する者

(4) 一般社団法人野田市歯科医師会を代表する者

(5) 社会福祉法人野田市社会福祉協議会を代表する者

(6) 中核地域生活支援センターを代表する者

(7) 自立支援・障がい者差別解消支援地域協議会を代表する者

(8) 担当部長

(9) 市職員(前号に掲げる者を除く。)

(10) その他当該障がい者の関係者

3 虐待対応ケース会議は、前項各号に掲げる者1人以上からの開催の求めに応じ、担当部長が招集し、主宰する。

(評価会議)

第41条 市は、障がい者虐待に係る関係機関相互の連携強化を図るとともに、主担当及び関係機関の役割分担の明確化のほか、個別事案に関する支援方針に基づき、当該障がい者の安全の確保がされたかどうかその他の当該支援方針に基づく措置の実施状況を評価し、及び個別事案の終結の判断に資するため、評価会議を開催しなければならない。

2 評価会議の構成員は、担当部長、担当課の課長及び障がい者虐待に係る関係機関の実務者とする。

3 評価会議は、前項に規定する構成員1人以上からの開催の求めに応じ、担当部長が招集し、主宰する。

4 担当部長は、必要があると認めるときは、個別事案の関係者の出席を求めることができる。

5 市は、個別事案について、評価会議の意見を踏まえ、障がい者虐待が解消され、及び障がい者虐待の発生要因が除去されたことにより障がい者虐待が発生しないと判断したときは、その終結を決定する。

(情報の共有)

第42条 市は、障がい者虐待を受け、又は受けるおそれのある障がい者(以下この条において「支援対象障がい者」という。)の保護及び自立の支援のために必要があると認める場合には、関係機関と連携し、支援対象障がい者、その養護者、同居人その他の支援対象障がい者の関係者の氏名、住所、心身の状況その他の支援対象障がい者の保護及び自立の支援のために必要な情報を遅滞なく収集し、その業務の遂行に必要な範囲内に限り共有しなければならない。ただし、当該情報を共有することによって、当該情報に係る支援対象障がい者、その養護者、同居人その他の支援対象障がい者の関係者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

2 市は、支援対象障がい者の見守りを積極的に行っていく必要があることから、民生委員と連携し、支援対象障がい者の氏名、住所、心身の状況その他の支援対象障がい者の保護及び自立の支援のために必要な情報をその業務の遂行に必要な範囲内に限って共有しなければならない。ただし、当該情報を共有することによって、当該情報に係る支援対象障がい者、支援対象障がい者の関係者又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

3 市は、支援対象障がい者が市外に転出し、又は転出を予定する場合には、支援対象障がい者に対する支援が途切れることのないよう転出先の市区町村に必要な情報を提供しなければならない。

4 市は、支援対象障がい者が市内に転入し、又は転入を予定する場合には、支援対象障がい者に対する支援が途切れることのないよう転出元の市区町村に必要な情報の提供を求めなければならない。

5 担当課の課長は、障がい者虐待事案の担当者に変更があった場合には、担当課の係長を含めて障がい者虐待事案の情報の引継ぎをさせ、その旨の報告を受けなければならない。

(障害者福祉施設従事者等による障がい者虐待)

第43条 市は、障害者福祉施設従事者等による障がい者虐待が認められた場合は、直ちに、都道府県に報告し、社会福祉法、障害者総合支援法その他関係法律の規定に基づく報告徴収、許可の取消し、措置命令、指定の取消し等の権限の行使について、当該都道府県と連携しながら適切に行使する。

2 市は、障害者福祉施設従事者等による障がい者虐待が認められた障がい者が、本市以外の市区町村が援護する障がい者であった場合は、直ちに、当該市区町村に引き継ぎ、当該市区町村の方針又は依頼に従い協力する。

(使用者による障がい者虐待)

第44条 市は、使用者による障がい者虐待が認められた場合は、直ちに、都道府県へ通知し、当該都道府県と連携を図る。

(障がい者虐待を受けた障がい者に対する支援)

第45条 市は、障がい者虐待を受けた障がい者に対し、地域において安心して生活が送れるよう、関係機関と連携し、障害者総合支援法の規定に基づく給付、相談、指導、助言その他の必要な支援を適切に行わなければならない。

2 市は、前項の規定による支援を行うに当たっては、障がい者の障がい特性、心身及び生活の状況その他の事情に配慮しつつ、障がい者の意思を尊重しなければならない。

(養護者に対する支援)

第46条 市は、養護者による障がい者虐待を防止するため、必要な広報その他の啓発活動を行わなければならない。

2 市は、養護者の負担軽減を図るため、関係機関と連携し、情報の共有、アウトリーチを含む相談の実施その他の必要な支援を適切に行うとともに、短期入所、日中一時支援その他のレスパイトケアに努め、養護者による障がい者虐待の再発防止に努めなければならない。

第5章 虐待防止対策庁内連絡会

(虐待防止対策庁内連絡会)

第47条 市は、統一性及び実効性をもって、市が実施する虐待の防止等に関する施策及び活動を推進するため、虐待防止対策庁内連絡会(以下「連絡会」という。)を設置する。

2 連絡会は、次の各号に掲げる事項についての情報交換、協議、検証及び改善を行う。

(1) この条例に基づく虐待の防止等に関する施策及び活動に関すること。

(2) 市内で発生した虐待事例に関すること。

(3) 日常的な虐待対応の動き方、流れ及び連携に関すること。

(4) 虐待に関する職員の意識に関すること。

(5) 虐待に関する課題の解決その他の市が実施する虐待の防止等に関する施策及び活動の推進に関すること。

3 連絡会は、毎年度、5月及び11月に開催する。ただし、必要があると認めるときは、臨時に開催することができる。

4 前3項に定めるもののほか、連絡会に関し必要な事項は、別に定める。

第6章 議会への報告

(虐待事案の調査研究及び報告)

第48条 市長は、市内外を問わず、被養護者等の心身に著しく重大な被害を及ぼした虐待事案が発生したときは、調査研究し、議会に報告する。

(毎年度の報告及び報告の求め)

第49条 市長は、毎年度、第1条に規定する目的の達成に向けて前年度に実施した取組の概要を議会に報告するものとする。

2 議会は、市長が第1条に規定する目的の達成に向けて前年度に実施した取組の評価及び検証のために必要があると認めるときは、市長に対し、その取組の詳細の報告を求めることができる。

第7章 雑則

(虐待対応マニュアルの非公開)

第50条 第4条第3項の規定により作成する虐待対応マニュアルは、公開しない。

(委任)

第51条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

この条例は、令和6年1月1日から施行する。

野田市虐待防止条例

令和5年12月15日 条例第34号

(令和6年1月1日施行)

体系情報
第8類 生/第1章 社会福祉
沿革情報
令和5年12月15日 条例第34号