○野田市公契約条例
平成21年9月30日
野田市条例第25号
地方公共団体の入札は、一般競争入札の拡大や総合評価方式の採用などの改革が進められてきたが、一方で低入札価格の問題によって下請の事業者や業務に従事する労働者にしわ寄せがされ、労働者の賃金の低下を招く状況になってきている。
このような状況を改善し、公平かつ適正な入札を通じて豊かな地域社会の実現と労働者の適正な労働条件が確保されることは、ひとつの自治体で解決できるものではなく、国が公契約に関する法律の整備の重要性を認識し、速やかに必要な措置を講ずることが不可欠である。
本市は、このような状況をただ見過ごすことなく先導的にこの問題に取り組んでいくことで、地方公共団体の締結する契約が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することができるよう貢献したいと思う。
この決意のもとに、公契約に係る業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図るため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保することにより、当該業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図り、もって市民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする。
(1) 公契約 市が発注する工事又は製造その他についての請負の契約及び野田市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例(平成21年野田市条例第7号)第6条第1項の規定により市長又は教育委員会が締結する公の施設の管理に関する協定(以下「指定管理協定」という。)
(2) 受注者 第4条に規定する公契約を市と締結した者
(3) 下請負者 下請その他いかなる名義によるかを問わず、市以外の者から第4条に規定する公契約に係る業務の一部について請け負った者
(4) 請負労働者 自らが提供する労務の対価を得るために公契約に係る業務の一部についての請負の契約により当該公契約に係る業務に従事する者で次のいずれにも該当するものであって、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者と同視すべきものとして市長が認めるもの
ア 当該公契約に係る業務に使用する資材の調達を自ら行わない者
イ 当該公契約に係る業務に使用する建設機械その他の機械を持ち込まない者
(5) 賃金等 労働基準法第11条に規定する賃金及び請負労働者の収入
(平22条例24・平24条例26・一部改正)
(受注者等の責務)
第3条 受注者、下請負者及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「法」という。)の規定に基づき受注者又は下請負者に労働者を派遣する者(以下「受注者等」という。)は、法令等を遵守し、労働者の適正な労働条件を確保することはもとより、公契約に関係する責任を自覚し、公契約に係る業務に従事する者が誇りを持って良質な業務を実施することができるよう、労働者の更なる福祉の向上に努めなければならない。
(平24条例26・平25条例4・一部改正)
(公契約の範囲)
第4条 この条例が適用される公契約は、一般競争入札、指名競争入札又は随意契約の方法により締結される契約であって、次に掲げるもの及び全ての指定管理協定とする。
(1) 予定価格が4,000万円以上の工事又は製造の請負の契約
(2) 予定価格が1,000万円以上の工事又は製造以外の請負の契約のうち、市長が別に定めるもの
(3) 前号に定めるもののほか、工事又は製造以外の請負の契約のうち、市長が適正な賃金等の水準を確保するため特に必要があると認めるもの
(平22条例24・平23条例25・平24条例26・平26条例16・一部改正)
(1) 受注者に雇用され、専ら当該公契約に係る業務に従事する者
(2) 下請負者に雇用され、専ら当該公契約に係る業務に従事する者
(3) 法の規定に基づき受注者又は下請負者に派遣され、専ら当該公契約に係る業務に従事する者
(平22条例24・平24条例26・一部改正)
(適用労働者の賃金等)
第6条 受注者等は、適用労働者に対し、次に定める1時間当たりの賃金等の最低額(1円未満の端数があるときは、これを切り上げた額)以上の賃金等を支払わなければならない。
(1) 工事又は製造の請負の契約 契約を締結した日の属する年度の農林水産省及び国土交通省が公共工事の積算に用いるため決定した公共工事設計労務単価(以下この号において「労務単価」という。)に規定する職種ごとに、千葉県において定められた額を8で除した額に100分の85を乗じて得た額(労務単価に規定されていない職種又は千葉県において額が定められていない職種にあっては、労務単価を勘案して市長が別に定める額)
(2) 工事又は製造以外の請負の契約及び指定管理協定 野田市一般職の職員の給与に関する条例(昭和26年野田市条例第32号)別表第1及び別表第1の2に定める額、国土交通省が国の建築保全業務を委託する際の費用の積算に用いるため毎年度決定する建築保全業務労務単価その他の公的機関が定める基準等並びに本市が既に締結した工事又は製造以外の請負の契約に係る労働者の賃金等を勘案して市長が別に定める額
2 工事又は製造以外の請負の契約及び指定管理協定については、最低賃金法第4条第3項各号に掲げる賃金は、前項に規定する賃金等に算入しない。
3 第1項の規定の適用については、最低賃金法施行規則(昭和34年労働省令第16号)第2条の規定を準用する。
(平22条例24・平23条例25・平24条例26・平29条例8・一部改正)
(適用労働者の申出)
第6条の2 適用労働者は、支払われた賃金等の額が前条第1項に規定する賃金等の最低額を下回るときその他受注者等がこの条例に定める事項に違反する事実があるときは、市長又は受注者等にその旨の申出をすることができる。
2 受注者等は、適用労働者が前項の申出をしたことを理由として、当該適用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
(平26条例16・追加)
(適用労働者への周知)
第7条 受注者は、次に掲げる事項を公契約に係る業務が実施される作業場の見やすい場所に掲示し、若しくは備え付け、又は書面を交付することによって適用労働者に周知しなければならない。
(1) 適用労働者の範囲
(2) 第6条第1項に規定する賃金等の最低額
(3) 前条第1項の申出をする場合の連絡先及び当該申出をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けないこと。
(平22条例24・平25条例36・平26条例16・一部改正)
(受注者の連帯責任等)
第8条 受注者は、下請負者及び法の規定に基づき受注者又は下請負者に労働者を派遣する者(以下「受注関係者」という。)がその雇用する適用労働者に対して支払った賃金等の額が第6条第1項に規定する賃金等の最低額を下回ったときは、その差額分の賃金等について、当該受注関係者と連帯して支払う義務を負う。
2 受注者は、公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件及び当該業務の質の確保が下請負者の安定した経営に基づいて成り立つことを十分に考慮して、建設業法(昭和24年法律第100号)又は下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)を遵守し、下請負者との契約を締結するに当たっては、各々の対等な立場における合意に基づいた公正な契約としなければならない。
(平22条例24・平25条例36・一部改正)
(報告及び立入検査)
第9条 市長は、適用労働者から第6条の2第1項の申出があったとき及びこの条例に定める事項の遵守状況を確認するため必要があると認めるときは、受注者等に対して必要な報告を求め、又はその職員に、当該事業所に立ち入り、適用労働者の労働条件が分かる書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(平26条例16・一部改正)
2 受注者等は、前項の規定により違反を是正するために必要な措置を講ずることを命じられた場合には、速やかに是正の措置を講じ、市長が定める期日までに、市長に報告しなければならない。
(公契約の解除)
第11条 市長は、受注者等が次の各号のいずれかに該当するときは、市と受注者との公契約を解除することができる。
(2) 前条第1項の命令に従わないとき。
(3) 前条第2項の報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
2 前項の規定により公契約を解除した場合において、受注者等に損害が生じても、市長は、その損害を賠償する責任を負わない。
(平26条例16・一部改正)
(公表)
第12条 市長は、前条第1項の規定により公契約の解除をしたとき又は公契約の終了後に受注者等がこの条例の規定に違反したことが判明したときは、市長が別に定めるところにより公表するものとする。
(平22条例24・一部改正)
(損害賠償)
第13条 受注者は、第11条第1項の規定による解除によって市に損害が生じたときは、その損害を賠償しなければならない。ただし、市長がやむを得ない事由があると認めるときは、この限りでない。
(違約金)
第14条 市長は、受注者等がこの条例の規定に違反したときは、違約金を徴収することができる。
(平22条例24・追加)
(野田市公契約審議会の設置)
第14条の2 第6条第1項に規定する賃金等の最低額に関する事項その他公契約に関する重要な事項について調査審議するため、野田市公契約審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
(平29条例8・追加)
(組織)
第14条の3 審議会は、委員6人以内で組織する。
(平29条例8・追加)
(委員)
第14条の4 委員は、次の各号に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 労働者団体を代表する者
(2) 建設業団体を代表する者
(3) 商工団体を代表する者
(4) 学識経験者
2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。
4 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(平29条例8・追加、令元条例13・一部改正)
(会長)
第14条の5 審議会に、会長を置き、委員の互選により選任する。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
(平29条例8・追加)
(会議)
第14条の6 審議会の会議は、会長が招集し、議長となる。
2 審議会は、委員の半数以上が出席し、かつ、労働者団体を代表する者である委員、事業者である委員及び学識経験者である委員それぞれ1人以上が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(平29条例8・追加)
(意見の聴取等)
第14条の7 審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係者に対し、出席を求め、意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
(平29条例8・追加)
(1) 落札者に雇用され、専ら決定業務に従事する者
(2) 下請その他いかなる名義によるかを問わず、市以外の者から決定業務の一部について請け負った者(次号において「その他請負者」という。)に雇用され、専ら決定業務に従事する者
(3) 法の規定に基づき落札者又はその他請負者に派遣され、専ら決定業務に従事する者
(平22条例24・旧第14条繰下・一部改正、平24条例26・一部改正)
(低入札価格調査制度の拡充等の措置)
第16条 市長は、公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件及び当該業務の質の確保が下請負者の安定した経営に基づいて成り立つことを十分に考慮して、低入札価格調査制度の拡充等の必要な措置を講ずるものとする。
2 市長は、適用労働者の雇用の安定並びに公契約に係る業務の質及び継続性の確保を図るため、野田市長期継続契約を締結することができる契約に関する条例(平成17年野田市条例第32号)第2条に規定する契約を締結する等の必要な措置を講ずるものとする。
3 受注者等は、適用労働者の雇用の安定並びに公契約に係る業務の質及び継続性の確保を図るため、公契約の締結前に当該公契約に係る業務に従事していた適用労働者を雇用し、及び前項の措置に係る適用労働者を継続して雇用するよう努めなければならない。
(平22条例24・追加)
(委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
(平22条例24・旧第15条繰下)
(平25条例36・追加、平29条例8・一部改正)
附則
この条例は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
(平成21年規則第44号で平成22年2月1日から施行)
附則(平成22年9月30日野田市条例第24号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成23年9月30日野田市条例第25号)
この条例は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成24年10月3日野田市条例第26号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例による改正後の野田市公契約条例(以下「新条例」という。)第4条の規定は、この条例の施行の日以後に締結する野田市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例(平成21年野田市条例第7号)第6条第1項の規定により市長又は教育委員会が締結する公の施設の管理に関する協定(以下「指定管理協定」という。)について適用し、同日前に締結した指定管理協定については、なお従前の例による。
3 新条例第6条第1項第1号の規定は、平成25年4月1日以後に締結する工事又は製造の請負の契約について適用し、同日前に締結した工事又は製造の請負の契約については、なお従前の例による。
附則(平成25年3月27日野田市条例第4号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成25年9月30日野田市条例第36号)
(施行期日等)
1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。ただし、第7条第2号及び第8条第1項の改正規定は、公布の日から施行する。
2 この条例による改正後の野田市公契約条例第18条の規定は、平成26年4月1日以後に締結する水道事業が発注する工事又は製造その他についての請負の契約について適用する。
(野田市長期継続契約を締結することができる契約に関する条例の一部改正)
3 野田市長期継続契約を締結することができる契約に関する条例(平成17年野田市条例第32号)の一部を次のように改正する。
第2条第2号中「第3号」の次に「(同条例第18条において準用する場合を含む。)」を加える。
附則(平成26年9月29日野田市条例第16号)
(施行期日)
1 この条例は、平成27年4月1日から施行する。ただし、第11条第1項第1号の改正規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例による改正後の野田市公契約条例第4条第1号、第6条の2、第7条第2号及び第3号並びに第9条第1項の規定は、平成27年4月1日以後に締結する公契約について適用し、同日前に締結した公契約については、なお従前の例による。
附則(平成29年3月29日野田市条例第8号)
この条例は、平成29年4月1日から施行する。
附則(令和元年9月25日野田市条例第13号抄)
(施行期日)
1 この条例は、令和元年10月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現にこの条例による改正前のそれぞれの条例(野田市自転車等放置防止に関する条例を除く。次項において「旧各条例」という。)の規定に基づき附属機関の委員として委嘱又は任命されている者については、その任期中に限り、この条例による改正後のそれぞれの条例(野田市自転車等放置防止に関する条例を除く。次項において「新各条例」という。)の規定に基づき附属機関の委員として委嘱又は任命された者とみなす。
3 この条例の施行の際現に旧各条例の規定に基づき附属機関の会長若しくは委員長又は副会長若しくは副委員長(以下「会長等」という。)として選任されている委員については、その任期中に限り、新各条例の規定に基づき附属機関の会長等として選任された委員とみなす。